相続放棄の際に必要となる書類

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2024年10月08日

1 相続放棄の手続きに必要な書類

 相続放棄の手続きに必要な書類について、個々のご事情によっては、必要な書類が異なる場合があるものの、原則的には以下の通りです。

 ご自分の場合に何が必要かよく分からないという場合には、相続放棄に詳しい弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

⑴ 相続放棄申述書

 被相続人と、申述人(相続人)の本籍地や住所等のほか、相続放棄をする理由等を記載します。

 相続放棄申述書の書式は裁判所のホームページからも入手することができます。

 参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述書(成人)

 参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述書(未成年者)

 

⑵ 収入印紙、予納郵券

 家庭裁判所に相続放棄の手数料を納めるための収入印紙と、後日の相続放棄申述受理通知書の発送等を行うための郵便切手が必要となります。

 

⑶ 戸籍謄本類

 被相続人の配偶者または子が相続放棄をする場合には、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍)、申述人の戸籍謄本が必要になります。

 被相続人の親や兄弟姉妹が相続放棄をする場合には、上記に加え、被相続人の出生から死亡の前までの連続した戸籍謄本も必要になります。

 また、被相続人最後の住所地を示すための、住民票除票または戸籍の附票も必要となります。

 戸籍謄本類は、市区町村窓口等で取得することができます。

 参考リンク:横浜市・戸籍・住民票などの証明書

2 例外的な場合に必要となる書類

 相続放棄の期限は、相続の開始を知った日から3か月です。

 しかし、被相続人が死亡したこと、すなわち相続の開始を知った日が、被相続人死亡日よりも遅くなり、被相続人死亡日から3か月以上経過してから相続放棄を行う場合には、その経緯を裏付ける資料が必要になることがあります。

 必要になる資料はケースバイケースであるため、以下、いくつかの例を挙げてご説明いたします。

 

⑴ 市町村からの通知で被相続人の死亡を知ったケース

 没交渉であった被相続人が、生活保護を受けていたケースにおいては、亡くなると市町村から相続人に対して手紙等により連絡がなされることがあります。

 この手紙を受けて、被相続人の死亡を初めて知ることがほとんどですので、手紙の写しを裁判所に提出します。

 

⑵ 貸金業者からの通知で被相続人の死亡を知ったケース

 似たようなケースとして、没交渉であった被相続人が貸金業者に借金をしていた場合が挙げられます。

 貸金業者が相続人を調べて催告書等を送ることがあり、この催告書を受け取って初めて被相続人の死亡を知ることもよくあります。

 この場合も、貸金業者からの催告書の写しを裁判所に提出します。

 

⑶ 孤独死のケース

 他の類型として、被相続人が孤独死をしていたケースにおいては、ご遺体が激しく損傷していることがあります。

 このような場合、警察の鑑定などにより、身元が判明するまで時間がかかり、それまでの間、死亡していた人が被相続人であることが確定しません。

 身元が被相続人であることが判明すると、死体検案書が発行されますので、その発行を受けた日を以て相続の開始を知ったことを示すため、死体検案書の写しを裁判所に提出します。

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