親族と疎遠である場合の相続放棄
1 被相続人の状況が分からない方
相続放棄をする理由のひとつとして、被相続人の状況が分からないというものが挙げられます。
相続放棄を希望される方の中には、複雑な家庭環境をお持ちの方も多いです。
特に多いのは、幼少期などにご両親が離婚された場合です。
片方の親に引き取られた後は、もう片方の親とは完全に没交渉であったということがよくあります。
完全に没交渉となっていた親については、住所や連絡先も不明ということが大半です。
また、ご家族の方とトラブルになり、家出のような形で家族と離別し、その後長期間、一切の連絡を絶っていたというケースもあります。
このような場合も、お互いの連絡先は不明となってしまっており、被相続人が亡くなっても、すぐにはそのことを知り得ない状態となります。
2 被相続人死亡の事実を知るタイミング
上記のような状況の方が、被相続人死亡の事実を知るパターンは、大きく分けて次の3つです。
⑴ 債権者からの連絡
被相続人の債権者を名乗る者から連絡を受け、被相続人の死亡を知る場合です。
被相続人が借金等をしたまま亡くなると、債権者は相続人を調査し、貸したお金を返済するように連絡をしてきます。
具体的には、被相続人が亡くなったこと、連絡を受けた方が相続人であること、被相続人の債務額が書かれた手紙などが送られてきます。
⑵ 市役所等からの連絡
市役所等から連絡を受け、被相続人の死亡を知る場合です。
被相続人の方が不動産を保有していた場合は、固定資産税の請求をするための相続人代表者指定届を提出するよう通知が来ることがあります。
また、被相続人の方が生活保護を受給していた場合、相続人に対してその後の処理についての連絡がなされることがあります。
⑶ 他の相続人からの連絡
疎遠であった他の相続人が、遺産分割協議を行うため、代理人等を通じて住所を調べ、連絡をしてくることが考えられます。
そのような場合には、他の相続人から連絡を受けたときに、初めて被相続人の死亡を知ることになるかと思います。
3 被相続人の死亡を知ったら弁護士にご相談ください
疎遠であった親族が亡くなられた際、相続に一切かかわるつもりがなければ、相続放棄を検討することになるかと思います。
相続放棄の手続きには期限があり、煩雑ですので、適切に進めるためにも、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。